O−157感染ルートは?予防法は?

緑茶が効く!

O−157とは

日本では1990年に、埼玉県浦和市の幼稚園での集団発生で大腸菌「O−157」という名前が知られるようになりましたが、病原性大腸菌「O−157」による食中毒は、1982年にアメリカで初めて確認されました。比較的新顔の大腸菌でこの時は、ハンバーガーチェーン店のひき肉が感染源と判明しましたが、O−157の研究そのものがまだ日が浅いというのが現実です。


恐いベロ毒素

O−157の最大の特徴は猛毒「ベロ毒素」です。O−157そのものは抗生物質で退治できるのですが、この菌は、体内に入ると他の下痢性大腸菌と違って菌が死滅する前に赤痢菌に類似したベロ毒素を放出するのです。
O−157は、腸粘膜の毛細血管を侵して激しい痛みと出血性下痢を起こさせベロ毒素が、腎臓や脳に大きな障害をもたらし死に至らしめる場合もあります。今のところベロ毒素に対する有効な手立てはなく、ベロ毒素が引き起こす溶血性尿毒症症候群(急性腎不全等)には、人工透析や血しょう交換をする等の対症療法が中心となっています。
O−157のもうひとつの特徴は、少量の菌で感染すること。腸炎ビブリオ菌やサルモネラ菌等は百万個以上の菌を摂取しないと感染しませんがO−157は数百個程でも発症します。


「カテキン」に殺菌作用

身近な飲み物<緑茶>に病原性大腸菌「O−157」を殺菌する作用があるとの研究結果が報告されました。日本茶の抗菌作用は指摘されていたが、「O−157」に対する殺菌効果を実証したのは初めてである。
殺菌効果は緑茶に含まれている「カテキン」という成分によるもので、この物質は細菌の細胞膜を破壊する性質があり「O−157」の細胞膜をも破壊してしまう。既に緑茶がコレラ菌や赤痢菌、腸炎ビブリオ、サルモネラ等に対して殺菌作用があり、お茶の効果は想像以上に高く、普通飲む濃さのお茶(2 .5%)、渋茶(5%)も効果は同じで飲み方は食中、食後を中心に普通に飲んでいれば大丈夫という。
日本人がお茶を飲んできたのは嗜好だけでなく、先人の知恵の継承です。 お茶で「O−157」から身を守りましょう。

カテキンとは・・

ツバキ科の茶の葉や葉芽に含まれる渋味の成分。茶のカテキンにはエピガロカテキンガレート、エピカテキン、エピカテキンガレート等が含まれている。
緑茶のうちカテキン含量が多いのが、煎茶で約15%、番茶約13%、玉露約10%である。殺菌作用の他インフルエンザウイルス、ロタウイルスに対する抗ウイルス効果も明らかにされている。